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コクヨは来夏にも、中国のノート最大手の何如文化用品を買収し、同国文具市場に本格参入する。年1億3千万冊の生産能力と中国全土の販売網を手の入れ、ノート以外の文具の販売にもつなげる。同社はインドでも文具大手を買収したばかり。国内の文具市場は少子化で縮小しており、M&A(合併・買収)で海外開拓を急ぐ。
(2011年11月22日 日本経済新聞より)
今日は、文具・オフィス用品事業を営むコクヨについて焦点を当ててみます。
コクヨの直近の財務情報は下記のとおりです。
直近期で利益水準が回復してきたようですが、売上高は減少しており、じり貧状態のようですね。
さらに、2004年からのコクヨのセグメント別収益状況をグラフ化してみます。
「ステーショナリー事業」とは、ノートやファイルなどの文房具事業で、「ファニチャー事業」とは、オフィス向けデスクやイスなどのオフィス家具事業です。両者事業ともに売上規模は縮小しています。とくにリーマンショック以降、オフィス家具は不振のようです。多くの企業がリーマンショック以降経費を削減しているためと推測されます。
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リーマンショック以降、オフィス家具事業は営業赤字に転落してますね。
文房具事業も直近で営業損益は改善してきたものの、2006年の水準から比較すると20%減です。
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文具業界の他社の状況をみてみます。
文具・オフィス用品業界の有名メーカーといえば「キングジム」「パイロットコーポレーション」「三菱鉛筆」「岡村製作所」といったところでしょうか。
「コクヨ」は、ノートなどの紙製品に強みをもっていますが、「キングジム」はファイルやバインダー、「パイロットコーポレーション」や「三菱鉛筆」はボールペン、「岡村製作所」はオフィス家具に強みを持っています。
各社の財務情報と当該5社の直近比較財務情報は下記のとおり。
■ パイロットコーポレーション(7846)_個社財務情報.pdf
どの文具企業も売上高はじり貧状態ですが、オフィス家具中心の岡村製作所は特にリーマンショック後は厳しいようです。
また、パイロットコーポレーションと三菱鉛筆は営業利益率が高いですね。
さらに、国内文具市場の状況を見てみます。
日経新聞でも指摘しているとおり、国内の文具市場は確かに縮小傾向にあり、厳しい環境が続きそうです。
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上記5社の直近年度の連結売上高に占める海外売上高比率を見てみると
■ コクヨ・・・10%未満
■ キングジム・・・10%未満
■ パイロット・コーポレーション・・・62.5%
■ 三菱鉛筆・・・43.1%
■ 岡村製作所・・・10%未満
とボールペンを主力製品としている2社は、すでに海外展開が進んでいるようです。
こうした国内文具市場の縮小が続く中、コクヨは海外とくに新興国であるアジアに活路を見出そうとしています。
最近の手元キャッシュを見てみると
2007年12月末:134億→2008年12月末:167億→2009年12月末:239億→2010年12月末:254億→2011年9月末:288億円
と潤沢な資金をもつコクヨ。
豊富な手元資金をもとに今年10月にはインド国内第3位の文具メーカーを買収しています。黒田社長は「100億円単位でM&Aを進める」と今後もM&Aへの意欲を見せている模様です。
海外売上高比率も早期に30%まで引き上げることを目指すようです(同日日経新聞より)。
今後のコクヨのM&A戦略に注目です。
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