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今日は、ミクシィのトップ人事の話題からです。
【抜粋】
・SNS大手のミクシィは15日、執行役員の朝倉祐介氏(30)が社長に就任する人事を発表した。6月25日の株主総会で正式決定する。創業者の笠原健治社長(37)は会長に就く。
・朝倉氏はマッキンゼーなどを経て2011年にミクシィに合流、現在は経営企画室長を務める。スマートフォンの普及などの市場の変化にトップの若返りで対応する。
(2013年5月15日付のヤフーニュース(産経新聞)より)
笠原さんも若いですが、さらなる若返りをはかり次期社長の年齢はなんと30歳という驚きの人事ニュースでした。
マッキンゼー出身と言えば、ディー・エヌ・エーの創業者で前社長の南波智子氏がいますね。
ミクシィのプレスリリースはこちらです。
■ ミクシィのプレスリリース「代表取締役の異動に関するお知らせ」
プレスリリースの中で、今回のトップ交代の狙いとして「昨今、スマートフォンの急激なシフト、オンラインでのコミュニケーション手段の多様化など、環境が急変する中、時代の変化に適応し、また時代の変化に先駆けて変革を続ける」ためと述べられています。
前社長の笠原さんは、会長職へ就任しますが代表権は返上し、より自由に朝倉新社長が手腕を発揮できるようにしまいます。
IT業界でのトップの若返りといえば、以前ヤフーが話題になりましたが、このときは、当時55歳だった井上雅博氏から44歳の宮坂学氏へ交代しています。
IT業界の中でもスマートフォンビジネスでは、環境変化が激しくスピードも速いため、パソコンを中心としたウェブ業界よりもさらに感性をもった若い経営者が求められているのかもしれません。
最近上場した「オルトプラス」や「オークファン」の社長が昭和53年生まれだったりと、30代社長が率いる新興企業が最近は増加している印象です。
最後に、ミクシィの最近の業況について簡単に見てみます。
日本のソーシャルネットワーク市場のパイオニアのミクシィですが、近年フェイスブックに押されていますね。計算方法が異なる可能性があるため一概に比較できませんが、2012年12月のミクシィの月間ログインユーザー数が、「1,298万人」(2013年3月期の第3Q決算説明会資料より)、フェイスブックの2013年5月7日の日本の推定ユーザー数は「1,378万人」(日経Web版より)と、ここ1、2年でフェイスブックが躍進しています。
こうした状況の中、コミュニティサイトであるmixiの広告収入で稼ぐビジネスモデルから、ミクシィゲームなどの課金ビジネスを中心とするビジネスモデルへの変貌を目指していますが、半ば途中、来期の平成26年3月期は減収減益を予想しています。
また、成長力の陰りを反映してか、ここ数年株価も低迷しています。2006年9月に上場したときから株価は10分の1程度までになっています。
<2012年度 通期決算説明会資料より>
<Yahoo!ファイナスより>
実際、スマートフォンとパソコンの月間ログインユーザー数(MAU)は、昨年から横ばいもしくは減少傾向にあります。
では、経営トップが変わりこれからはどのような経営ビジョンを描くのでしょうか。
本日発表の決算説明会の資料では、今後のミクシィのポジショニングの指針として下記のような図を示しています。
<2012年度 通期決算説明会資料より>
”ウェブからアプリへ”、さらに”広告ビジネスから課金ビジネスへ”の変革が読み取れます。
広告ビジネスでは、いかに多くの消費者に見てもらえるか、すなわちいかにアクティブユーザー数を伸ばせるかが勝負になります。
ユーザー数の世界で成長を求めるためには、いずれ人口を求めて世界に飛び出さなければいけませんが、この点では、SNSの市場で世界規模のプラットフォームになりつつあるフェイスブックにはなかなか勝てないのが本音でしょう。
一方、課金ビジネスが、ユーザー数もそうですが、いかに客単価を増やすか、いかに課金ユーザーを増やすか、が肝要となりますので、ユーザー数で成長が鈍化しても商機はあるように思います。
ただし、最近はアプリ市場はゲームを中心に、供給者の多く競争が激しいため、埋没するリスクも高いといえます。
本日の決算説明会の資料では、「新生ミクシィ社の成長を約束します」と強いメッセージがあります。
■ 2012年度第4四半期及び通期 決算説明会資料(1,311KB)
新生ミクシィの今後の展開に注目ですね。
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