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今日は、本日の日経朝刊2面『真相深層』コーナーで掲載されているBMWとトヨタの提携拡大の記事からです。
【記事要約】
・自動車大手の独BMWとトヨタ自動車が燃料電池車などの環境技術の相互供与で包括提携した。
・BMWとトヨタが提携を発表したの去年の12月。トヨタが欧州で販売する新車にBMWのディーゼルエンジンを使うという内容だった。
・一方で、BMWにとっては日本のハイブリッドエンジンの技術が欲しかった。
・従来はディーゼルエンジンの次世代は電気自動車と考えられていたが、最近のシンクタンク等の調査では20年度でもEV車のシェアは5%程度。逆にプラグインハイブリッド(PHV)を含むHV車は20%と試算された。
・BMWは過去にGMやダイムラーとHVの共同開発をしたが日本勢には届かなかった。
・最近では仏プジョーと合弁事業立ち上げも、プジョーとGMの提携により白紙へ。
・そうした中で、BMWはスポーツ車の共同開発で、最新の技術ノウハウをBMWがトヨタ側にさらすことで、提携拡大へとなった。
(2012年7月20日付日本経済新聞朝刊2面)
以前のBizblogではトヨタのBMWのディーゼル車戦略について取り上げました。
■ 2011/11/28 トヨタ、BMWと環境分野で提携交渉 ディーゼル車戦略
今日は、日本でも人気の高いBMWの財務状況について簡単に確認していきたいと思います。
◆BMWの業績状況
BMWの業績状況は次のとおりです。
<売上高>
【リソース】BMWのアニュアルレポートより。
売上は2007年から2009年にかけて売上減少し、2010年から急回復しています。
直近では、68821百万ユーロ(約6兆6350億円)となっています。
トヨタで売上高約18兆円、日産で約9兆円、ホンダで8兆円、スズキで2兆5000億円ぐらいです。
世界的にみればBMWの売上規模は中堅といったところでしょうか。
<利益推移>
【リソース】BMWのアニュアルレポートより。
利益状況も赤字まで転落はしていないものの2009年で利益がほぼゼロまでいき、そこから2010年、2011年と急回復しています。
売上高営業利益率では直近2桁の大台まで回復させています。
<キャッシュフロー状況>
【リソース】BMWのアニュアルレポートより。
BMWファイナンスと一体のキャッシュ・フロー状況は上図のとおりですが、AutomobilesセグメントだけでCFを作成すると次のとおりです。
<キャッシュ・フロー状況 自動車セグメント>
【リソース】BMWのアニュアルレポートより。
2008年、2009年のときは営業利益がしっかり稼げていないためFCF(フリーキャッシュフロー)はマイナス状況ですが、2010年以降は十分な営業CFにより投資活動CFを賄うことができ、一部を財務返済等に回せていることがわかります。
なお、全体のCFにおいて2010年から営業CFと投資CFが急激に減少しているのは会計方針の変更によるものです(ファイナンスリースの取り扱いの変更(IFRS適用))。
世界の自動車の各社の関係図は2009年に破たんしたGMの復活により、また大きく変わろうとしています。
新興国での自動車普及スピードと、最先端技術EV車の普及スピードのバランスにより、20年後のHV車のシェアが20%と高水位になることが予想される中で、環境対応に強い関心を持つユーロ圏市場での一定の顧客基盤の維持のためには、HV技術の獲得はBMWとしても必須だったといえます。
一方で、トヨタの弱点と言われる欧州市場での販路拡大にはディーゼルエンジンの技術獲得も必須であり、お互いが弱点を補強しあえる提携だったと言えるでしょう。
今後の自動車業界の再編に注視していきたいですね。
以 上
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