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今日は、日経朝刊3面のエルピーダ再建の話題から。
<2012年6月29日 日経朝刊3面>
・米半導体大手マイクロン・テクノロジーは会社更生手続き中のエルピーダメモリを買収することで合意した。
・約4200億円のエルピーダ向け債権のうち約7割をカットする。買収額は約2000憶円になる見通し。
・マイクロンはモバイル用DRAMを増産するため、広島工場など約1000億円を投資する計画。マイクロンは情報通信サーバなどに使うNAND型フラッシュメモリーが主力。
・買収後はDRAM事業をエルピーダと統合し、経営を効率化する。
<記事要約はここまで>
エルピーダの買収が合意したようです。以前のBizBlogでもエルピーダについては取り上げています
■ 2012/03/01 エルピーダ 銀行、3月末決着譲らず
今日は買収するマイクロンについて少し財務内容を確認しようと思います。
◆マイクロン・テクノロジーの業績・財務状況
マイクロン・テクノロジーは米国半導体大手で、NAND型フラッシュメモリとDRAM製造を行っています。
Wikipediaでは、「アメリカで唯一のDRAM製造メーカー」と紹介されています。
セグメントをみると、各セグメントの売上状況は以下のとおりです。
【リソース】Micron Technologyの10-Kより筆者集計。単位は100万米ドル。
これをみると、DRAMで36%、NANDで25%の売上割合となっています。
次に売上規模、利益推移をみると次のとおりです。
<売上推移>
【リソース】Micron Technologyの10-Kより筆者集計。単位は100万米ドル。
<利益推移>
【リソース】Micron Technologyの10-Kより筆者集計。単位は100万米ドル。
売上規模は、1$=80円として円換算すると直近で約7030億円となります。
エルピーダが5000億円ほどだったので、それよりも大きなメーカーと言えます。
ただ、規模が大きくなったのは2010年にスイスのNumonyxの買収によるもので、その前だと約半分ぐらいの規模だったといえます。
Numonyxは、米国Intel社とスイスのST Microelectronics社のフラッシュメモリ製造部門が分離・合体した会社で、NORフラッシュメモリとNAND型フラッシュメモリを製造・販売する会社です。
Numonyxの買収では、437百万米ドル(約349億円)の負ののれんが発生し、2010年の第3四半期で利益認識をしているようです。
また、この買収では株式交換が行われています。
Micronの業績をみると決してよい業績とは言えませんが、財務状況としては以下のとおり50%超の自己資本となっていますので財務状況は健全だと言えるでしょう。
<自己資本比率推移>
【リソース】Micron Technologyの10-Kより筆者集計。
また、キャッシュ・フローの状況をみるとエルピーダのようなキャッシュ不足に陥っていないことがわかります。
<期末CF、FCFの推移>
【リソース】Micron Technologyの10-Kより筆者集計。
かつて日本の半導体市場の席巻によって米国の半導体企業の多くがDRAMやフラッシュメモリ製造から撤退していきました。
今ではその日本の半導体メーカーも中国・韓国のメーカーに押され苦しんでいます。
マイコンのトップメーカーであるルネサスにおいてもシステムLSIでは苦戦を強いられ、出身母体であるNEC、三菱電機、日立製作所から資金援助を受けています。
韓国サムスンと韓国ハイニックスに対して、エルピーダ+Micronがどのように戦っていくのか。
すでにMicronとエルピーダのDRAM事業の統合を視野に入れ動いている状況です。
今回のエルピーダ買収によるDRAM市場の動向、ルネサスを中心としたシステムLSI関連市場の動向、ソニーのオリンパス買収によるCMOSセンサーの動きなど、半導体関連の動きが活発化してきそうですね。
今後の動きに注目していきたいですね。
以 上
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