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今日は、日経新聞のリクルート上場の記事からです。
【記事要約】
・リクルートは25日、数年内の株式公開を目指す方針を決めたことを明らかにした。上場先については東京証券取引所など複数の取引所を比較して今後決める。
・同社は欧米の人材派遣会社などの買収を進める考えで、幅広い資金調達手段の確立が課題となっていた。1990年代から財務改善に取り組んでいたが、上場でさらに信用力を向上させる狙いもある。
・リクルートは10月1日付で「リクルートホールディングス」に社名を変更し持株会社制に移行する予定で、同社が上場主体となる。
・これまでは資金調達を銀行借入に依拠してきたが、株式上場により市場からの直接調達にも選択肢を広げ、大規模な投資を手掛けやすくなる。M&Aもしやすくなる。
・リクルートは5年~6年後の中期目標として、海外売上高比率を現在の20%から50%に引き上げる計画を打ち出しており、昨年は北米で人材派遣事業の大型買収を相次ぎ決めた。
・買収効果で2013年3月期の連結売上高は前期比26%増の1兆200億円と4期ぶりに1兆円を超える見通し。人材サービスの総合力を高めるため、欧米でさらなるM&Aに乗り出す考え。
<日本経済新聞6月26日朝刊9面>
JALの再上場に引き続き、大型のIPO案件になりそうですね。
■ 2012/06/21 日本航空 上場申請 2年8か月ぶり復帰へ
リクルートといえば、人材派遣を中心とした人材関連事業と、広告メディアなどの販売促進支援事業を柱としている非上場会社です。
江副元社長が、1960年に大学が発行する新聞の広告代理店「大学新聞広告社」として創業しました。
88年にはリクルートコスモスの未公開株をめぐる贈収賄が発覚、いわゆる「リクルート事件」ですね。
これを契機にリクルートの創業者である江副氏が経営から退くと共に、当時の大手スーパー・ダイエーの創業者・社長(当時)の「中内功」へ保有株式が譲渡され、ダイエーの系列下に入りました。ダイエーグループ入りの際、ダイエーは「もの言わぬ株主」に徹する代わりに負債の肩代わりはしない立場をとったため、リクルートはバブル期の不動産やノンバンク事業の失敗で94年3月期に約1兆4,000億円あった有利子負債を自力で完済。そして、2000年頃に離脱。以降はどの企業グループにも属さず、情報サービス業としての中立性を維持しながら事業展開しています。(日経同記事およびウィキペディアより) 。
非上場会社ですので、決算報告情報をもとに以下簡単なステータスを整理してみました。
<財務情報(2012年3月期)>
内容 |
金額(百万円) |
営業収益 | 806,661 |
営業利益 | 115,043 |
経常利益 | 117,617 |
当期純利益 |
37,451 |
資本金 |
3,002 |
純資産 | 330,706 |
総資産 | 646,372 |
売上高は8000億円レベル、営業利益は14.26%、自己資本比率は50%を超えています。非上場のためか、資本金は30億円程度しかありません。
<大株主の状況(2011年3月末現在)>
氏名および名称 |
発行済株式数に対する 所有株式数(%) |
リクルート社員持株会 | 13.89 |
大日本印刷 | 5.32 |
凸版印刷 | 5.32 |
東京電力 | 4.99 |
三井物産 | 4.99 |
電通 | 4.99 |
農林中央金庫 | 4.16 |
合計 | 43.66 |
一番の大株主は従業員持株会なんですね。創業者の江副氏が去ったあとは、従業員が一丸となってここまで起死回生してきたことを物語っているのでしょうか。
そのほか、販売促進支援事業に属するフリーペーパーや情報誌などを刊行しているためか大手印刷会社2社や、メディア事業で競合しそうな電通も大株主に名を連ねています。東京電力もいます。
非上場のため開示情報は限定されていますが、最後に簡単に業績推移を整理してみます。
リマーマンショックを機には業績は大きく落ち込みましたが、徐々に回復を取り戻し、24年3月期は増収増益を達成。リーマンショック以降の最高益を達成しています。
要因についてセグメント情報をもとに見てみます。
<セグメント内容>
人材関連事業:人材採用広告(TOWN WORK、求人サイトのリクナビ、フロムエーなど)、人材斡旋サービス、人材派遣サービス
販売促進支援事業 :住宅関連(SUMOなど)、結婚関連(ゼクシィ)、日常消費関連(じゃらんなどの旅行、ホットペッパーなどの飲食など)、その他(リクルート進学ブックなどの進学関連、カーセンサーなどの自動車関連)のメディア事業
主な要因は、人材関連事業の利益の回復が大きいですね。企業の採用意欲が回復基調による影響によるようです。販売促進支援事業は安定しています。
グローバル展開を加速させるため、2012年3月期に米国の海外派遣会社3社を買収、連結子会社化しています。
これにより、海外事業での営業収益は、平成24年3月期300億円から平成25年3月期2,100億円に増加を計画、平成25年3月期は4期ぶりの営業収益1兆円超えの、営業収益:1兆2000億円、経常利益:1,200億円、海外営業収益比率:20%を計画しています。
さらに今後は、M&Aを中心に事業基盤の構築・拡大を目指し、5~6年後には海外営業収益比率50%を目指すとのこと。
下図のとおり2011年3月期の決算報告によるとアジア展開はかなり進んでいる模様ですので、今後は欧米でのM&Aを加速させていくと思われます。
今後のIPOやM&Aなどリクルートの動きに注目です。
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