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今日は、台北国際電脳展(コンピューテックス台北)の開幕記事からです。
【記事要約】
・米アップルのタブレットなどに需要を侵食されるパソコン市場で反撃を狙う動きが広がってきた。
・5日に台北市で開幕した「台北国際電脳展(コンピューテックス台北)」では、タッチパネル機能や軽量性を高め「iPad(アイパッド)」などモバイル端末との競合を意識したパソコンが相次ぎ登場。発売は秋以降とみられるが、機能性をどこまで向上させられるかがアップルとの攻防のカギを握るとみられる。
・パソコン世界シェア5位の台湾・華碩電脳(アスース)は、米マイクロソフトが年内に発売予定の新型基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」のタッチパネル機能を利用した製品を発表。2012年が“普及元年”とされる超薄型・軽量パソコン「ウルトラブック」の新製品も目立つ。
・ウィンドウズ8とウルトラブックはパソコン業界が待ち望んだ「対アップル」の切り札。この2つが電脳展で出そろい、タブレットに対抗する各社の姿が明確になった。
・パソコンはタブレットやスマートフォンなどとの競争が激化、成長性も鈍化している。米調査会社のIDCによると、16年までの世界出荷台数の伸びはパソコンが11年比で5割増にとどまる一方、タブレットは3.2倍、スマホは2.5倍。電脳展でもモバイル関連の出展が増えてパソコンの地盤沈下が進んでいる。
(2012年6月7日 日本経済新聞朝刊)
パソコンの地盤沈下を食い止めようと、パソコン陣営の巻き返しの動きが激しくなってきましたね。
ちなみに、コンピューテックス台北(COMPUTEX TAIPEI)は、ドイツのハノーバーメッセのCeBITに次ぎ、世界2位のコンピュータ見本市で、同時にアジア最大のコンピュータ見本市です。
■ 台北国際電脳展 http://www.computextaipei.com.tw/en_US/index.html
日本でも秋葉原のパソコンパーツ販売の「クレバリー」が倒産するなどパソコンの地盤沈下の影響が徐々に表れているようです。
パソコンの地盤沈下で危機感を募らせている代表的会社の1つがマイクロソフトでしょう。
モバイル端末市場への攻勢をかけるべく、近々リリースされる予定「Windows 8」ではタッチパネル操作が可能な仕様になっており、タブレット端末のOSとしても開発できる仕様のようです。
■ Windows8 http://www.microsoft.com/ja-jp/default.aspx
パソコン陣営の代表格マイクロソフト、モバイル端末の代表格アップルといえば、一昔前は、パソコンOSの分野でウィンドウズとマッキントッシュで争った両者ですが、パソコンの地盤沈下が最近の業績にどう影響にしているのか、まずは両者を比較してみましょう。
マイクロソフト/Microsoft(米) |
アップル/Apple(米) |
|
直近期(通期) | 2011.6 | 2011.9 |
Revenue/Net sales (売上高) |
$69,943 (5兆5,695億円) |
$108,249 (8兆6,198億円) |
Operating income (営業利益) |
$27,161 (2兆1,628億円) |
$33,790 (2兆6,906億円) |
Net income (最終利益) |
$23,150 (1兆8,434億円) |
$25,922 (2兆641億円) |
Cash and cash equivalents and short-term investments (現金・現金同等物および短期投資) |
$52,772 (4兆2,022億円) |
$81,570 (6兆4,954億円) |
Total assets (資産総額) |
$108,704 (8兆6,560億円) |
$116,371 (9兆2,666億円) |
Stockholders' equity (株主資本) |
$57,083 (4兆5,455億円) |
$76,615 (6兆1,008億円) |
※ 日本円ベースは直近為替レート79.63円/$で簡便的に換算している。日本円換算数値はあくまで参考値。
昔は、IT業界のガリバーだったマイクロソフトも、直近期ではアップルに売上高、利益ともに抜かれてしまっています。
そうはいってもマイクロソフトもまだまだ最終利益は2兆円弱ですから、日本企業からしたらまだまだ到底及ばないレベルといえます(今後のの日本企業の巻き返しに期待したいところですが)。
マイクロソフトの業績を俯瞰してみます。
まずは、ここ20年のマイクロソフトの業績推移をグラフ化してみます。売上高は20年で25倍、利益は20年で27倍に成長しています。
パソコンの普及とともに業績も倍々ゲームで拡大してきました。
そして、1985年11月に登場したウィンドウズは1984年登場のMac OSを追い出し、2009年10月にはインターネット上で使用されているクライアントの市場シェアの約90%を得るにまで成長しました(ウィキペディア等より)。
※「OI」は「Operating income(営業利益)」
なお、上記のグラフをみると必ずしもマイクロソフトの成長止まり業績が下降傾向になったわけではないことがわかります。むしろ、今でも右肩上がりの会社です。
ではそんな右肩上がりの業績を続けているマイクソフトがいつアップルに逆転されたのか…
過去5年間の両者を業績を簡単に比較してみます。
※「OI」は「Operating income(営業利益)」
2007年には売上高では半分だったアップルですが、2010年にマイクロソフトに追いつき、とうとう2011年にはマイクロソフトを抜いてしまいました。
パソコンの分野では勝てなかったアップルが、スマートフォン市場という新たな端末市場を切り開き、そしてiPhoneの爆発的なヒットにより、とうとうマイクロソフトを売上高、利益ともに追い抜くにまで成長しました。
スマートフォンはあくまで多機能携帯電話のため、パソコン市場を大きくは侵食しなかったかもしれません。
そのためか、最近まではマイクロソフトやインテルには大きな動きがありませんでした。
しかし、アップルはさらにタブレット市場をいう第2のモバイル端末市場を開拓、タブレット端末の画面の大きさ、軽量さ、起動の速さなどから市場は急速に拡大し、ついにはパソコン市場を侵食し始めています。
最近のマイクロソフトの「Window8」やインテル企画の「Ultrabook(ウルトラブック)」は、タブレット端末の拡大による危機感の表れです。
最後にマイクロソフトのセグメント別業績を見てみます。
※ 2012.3Qは9カ月分、「OI」は「Operating income(営業利益)」
上記青色部分がウィンドウズ事業ですが、ウィンドウズ関連事業の成長の鈍化は明らかですね。
最近はX-BOXなどゲーム機での好調さが叫ばれていますが、利益面ではまだまだ会社全体を牽引するまでには至っていません。
筆者は、モバイルパソコン(Think Pad)、スマートフォン(iPhone4S)、タブレット(iPad2)の3つを使うモバイル端末のヘビーユーザーです。ただし、仕事の都合上、Excel、PowerPoint、Access、Wordなどが避けられないため、仕事ではモバイルパソコンを中心です。
クラウド経由でスマートフォン、タブレットと予定表、写真、データを同期し、ビューアーとして活用していますが、ExcelなどのMicrosoft Officeとの互換性には弱いので、あくまでビューアーで仕事上ではあまり生かし切れていない気がします(Kenote、PagesやNumbersなどMicrosoft Officeに相当するソフトはありますがイマイチ使い勝手が馴染みません。両者の自動同期もできないため)。
一消費者として、一ビジネスマンとして、モバイルパソコン、スマートフォン、タブレットの3端末で、クラウド環境下でエクセルやワードを使いこなせたら便利だなと前から思っていましたから、マイクソフト陣営もビジネスマン市場でかなり商機があるのではないかと思っています。そうはいっても仕事の大半はマイクロソフトのOfficeが使われているでしょうから。
AppleやGoogleに押され気味のマイクロソフトが、スマートフォン市場、タブレット市場で巻き返しを図れるのか、それともパソコン自体がタブレットやスマートフォンやタブレットから巻き返しを図るのか、今後の市場の動向に注目です。
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