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TOPIXがバブル崩壊時の水準まで下がったのも話題になってますが、今日は、日経朝刊13面のソニー株の話題からです。
<2012年6月5日 日経朝刊13面 記事要約>
・4日の東京株式市場でソニー株が1980年以来、32年ぶりの1000円割れ(過去の株式分割を考慮)となった。
・国際優良株として東京株式市場をけん引した面影は薄れ、一時は5割を超えた外国人持ち株比率も30%台半ばに低下した。
・かつてソニーは79年にウォークマン、85年にハンディカムなど、革新的な製品で世界を席巻。
・しかし、韓国勢の追い上げなどで国際競争力が低下。「テレビへの対応の遅れや構造改革の長期化で商品力が著しく低下している可能性がある」(メリルリンチ日本証券、片山栄一アナリスト)。
・現在の株式時価総額はアップルの約42分の1、サムスンの13分の1。
・問題は、高い技術力や小型化の工夫で消費者の嗜好を先取りした製品を生み出す力など、ソニーが体現していた日本企業の優位性の陰りが「ソニーだけの問題なのか」との見方が株式市場に広がっていることだ。
・斬新な発想力で消費者や株式市場を驚かす企業風土の再生などによって、経営資源をいかに世界にアピールする製品に再びつなげていくか。ソニーが模索する収益の立て直しは、低迷が長引く日本株の底入れの条件とも重なる部分が大きい。
<記事要約ここまで>
以前よりBizBlogではソニーについて何回か取り上げきました。
■ 2012/05/16 ソニー・パナソニック、有機ELテレビ提携交渉
■ 2012/04/12 ソニー 2015年3月期 営業利益率5%狙う
業績悪化の歯止めがかからないソニーですが、とうとう時価総額が32年ぶりの1000割れを起こすことになってしまいました。
今日は、日経の記事にも出ていた、アップルの財務数値と比較しながら検討していきたいと思います。
◆ソニーとアップルの比較
ソニーは、御承知のとおり、ソニー銀行やソニー生命などの金融ビジネスにも本格的に進出しているため、単純にアップルと比較するのが正しいとは言い切れませんが、あえて、ソニーの連結ベースとアップルで比較していこうと思います。
アップルは、(御承知のとおり、)米国企業でありSEC提出の財務報告書はドルベースでの開示となっています。
比較を単純化するために、アップルの決算日におけるドルー円の為替レートを用いて、単純に円換算しています。
まずは、過去5年間の売上高の推移です。
※Sonyは3月決算期、Appleは9月決算期。例えば、Y.2011はSonyは2012年3月期となり、Appleは2011年9月期の値となる。以下、各グラフとも同じ。
※Sonyは金融収入を含めたTotal Sales、AppleはNet Salesの値。
アップルが急成長しているのがわかりますが、一方でソニーはジリ貧なのがわかります。
次に営業利益、最終利益ベースでの比較をしてみましょう。
2007年頃は利益ベースでは同じぐらいだったのに、5年で随分と広げられてしまいました。
Appleの凄さは何と言っても利益率の高さです。SonyとAppleの売上高当期純利益率を比較してみると以下のとおりです。
ジリ貧で最終利益を十分に確保できていないSonyと利益率で比較しても仕方ありませんが、Appleの最終利益率は約25%です。
営業利益率(Operating Income)では、直近では31%と30%台に乗せています。
高付加価値ビジネスの”極み”とでもいいましょうか、素晴らしい数字ですね。
さて、成長率について少し見てみようと思います。
高成長しているAppleが高い株価を維持しているのはうなづけますね。
なお、Appleは円ベースだと売上が2008-2009で下落していますが、これは急激な円高によるものです。ドルベースでは上記の売上高成長率にもあるように14%程度の成長を達成しています。
参考に、ドルベースでの売上高(Net Sales)、営業利益(Operating income)、最終利益(Net income)の推移をグラフ化すると以下のとおりです。
◆ソニーとアップルの株価推移
ここ5年の株価推移を比較すると以下の通りです。
【リソース】Morningstar
上記のソニーの株価は、ニューヨーク証券取引所におけるADRの推移を示しています。
MORNINGSTARのAppleのページにある[Competitors]の欄にSonyが載っていたので掲載してみました。
なお、東京証券取引所のソニー株の推移は以下のとおりです。
<2012年6月5日 5カ年月足チャート>
【リソース】SBI証券
なお、株式時価総額をみるとソニーの東京証券取引所における時価総額は今日の終値ベースで1,033,773百万円です。
AppleのMarket Capは前日終値ベースで530.7Billなので、今日の為替レート:1ドル=78円20銭で円換算すると約41,500,740百万円。
すなわち、ソニーの時価総額が約1兆円に対し、アップルは約41兆5000億円の時価総額ということです。
日経の記事にもあったとおり、だいたい約42分の1ですね。
繰り返しになりますが、ソニーは金融業も営んでいるので、金融業を含めたソニー連結ベースでAppleと単純比較できるものではありません。
昨今の欧州危機の影響は、現時点では製造業以上に金融事業者への影響は大きいでしょう。
このため、Appleに比較すれば金融業を営むSony株が下値を探る可能性は十分高いと言えます。
とりわけ、金融、音楽、映画といったコンテンツ系の収益が現在の収益源となっているソニーにとって、今回の欧州危機は製造部門としても痛手であるだけでなく、少なからず金融業にも影響を与えそうな気がします。
Appleがi-phoneやi-podなどで世界を席巻しているように、かつてソニーのWALKMANは世界で大ヒットしました。
苦境に立たされているソニーですが、今後どのように復活し、ライバルのAppleやサムスン電子を追いかけていくのか、注目していきたいですね。
以 上
【関連記事】
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■ 2012/04/02 東芝・日立・ソニー統合会社 液晶、製品別に最適生産
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