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今日は、日経朝刊2面の明日18日打ち上げ予定のH2Aロケットの記事からです。
【記事の要約】
・三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日未明、国産大型ロケット「H2A」を使い韓国の人工衛星を打ち上げる。
・H2Aは今回が21回目の打ち上げだが、海外から受注した衛星を搭載するのは初めて。成功すれば日本の宇宙ビジネスは新たな一歩を踏み出す。
・ただし、過当競争の衛星打ち上げ市場で勝ち残るのは容易でない。通信や放送衛星など静止衛星の打ち上げ需要は世界全体で年間20~25基で、今後も伸び悩むとみられている。通信需要を海底光ファイバーケーブルなどの地上の通信インフラと奪い合っているためだ。この状況の中、欧州のアリアンスペースやロシア、中国など打ち上げ実績が多いライバルがひしめく市場で分け合う構図。過去10年間のシェアはロシアウクライナ勢が45%、欧州23%、米国16%。
・今回のH2A21号機は、韓国衛星と日本の衛星の2つを相乗りさせて打ち上げる。打ち上げコストは約100億円。初受注の獲得を最優先とし、韓国には相当割安な価格を提示しているとみられる。
・今回の打ち上げはあくまで初めての1歩。継続した受注と打ち上げの成功で実績を積み重ねて否かければ日本の宇宙ビジネスを息長く大きく育てていくことはできない。
。そもそも衛星の打ち上げにおいて世界のどこの国でも純粋に民需だけではビジネスとしては成り立たない。軍事や科学研究など官需が下支えしているのが現実。
・官需をテコにして宇宙ビジネスを育てる必要あるのか日本では生煮えのまま。欧州やロシアなどロケットや衛星の保有が安全保障の観点から不可欠だとの考えによる。そうした戦略も司令塔もないが日本の現状。
国産ロケットH2Aですが、海外衛星「アリラン3号」を初搭載しての打ち上げが明日に迫っています。
しかし、世界に通用する宇宙ビジネスの育成にはまだまだ道のりは険しいようですね。
なお、H2Aロケット打ち上げですが、今回で21回目になります。過去1回失敗していますので、現在打ち上げの成功率は95%にとなっています。
■ H2Aロケット打ち上げ実績 ( http://h2a.mhi.co.jp/mission/results/index.html )
また、今回の打ち上げに関しての特設サイトがありますので興味のある方はご覧になって下さい。
■ H2Aロケット21号機の打ち上げ特設サイト( http://h2a.mhi.co.jp/f21/index.html )
簡単に当該特設サイトより今回の打ち上げ情報を列挙しておきます。
・概要
三菱重工は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発する第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)及び韓国航空宇宙研究院(KARI)が開発する多目的実用衛星3号機「アリラン3号」をH-IIA 21号機により種子島宇宙センターから打ち上げる。本号機には、2つの主衛星の他に、小型副衛星として、JAXAの開発する小型実証衛星4型(SDS-4)及び九州工業大学が開発する高電圧技術実証衛星(鳳龍弍号)も搭載される。
・日程
打ち上げ予定日:平成24年5月18日(金)
打ち上げ予定時刻:午前1時39分~午前1時42分(日本標準時)
打ち上げ場所:種子島宇宙センター大型ロケット発射場
最後に簡単に三菱重工業の業績推移を見てみます。
<当社財務データベース>
■ 三菱重工業_年度財務情報.pdf (2012年3月期の決算短信情報は含んでいない)
<業績全体>
<セグメント別業績>
【セグメント内容】
船舶・海洋 |
油送船・コンテナ船・客船・カーフェリー・LPG船・LNG船・自動車運搬船等各種船舶、艦艇、海洋構造物等の設計、製造、販売、サービス及び据付 |
原動機 |
ボイラ、タービン、ガスタービン、ディーゼルエンジン、水車、風車、原子力装置、原子力周辺装置、排煙脱硝装置、舶用機械、海水淡水化装置、ポンプ等の設計、製造、販売、サービス及び据付 |
機械・鉄構 |
廃棄物処理・排煙脱硫・排ガス処理装置等各種環境装置、交通システム、輸送用機器、石油化学等各種化学プラント、石油・ガス生産関連プラント、製鉄機械、コンプレッサ、橋梁、クレーン、煙突、立体駐車場、文化・スポーツ・レジャー関連施設、プラスチック機械、食品・包装機械、印刷機械、紙工機械等の設計、製造、販売、サービス及び据付 |
航空・宇宙 |
戦闘機・ヘリコプタ・民間輸送機等各種航空機、航空機機体部分品、航空機用エンジン、誘導飛しょう体、魚雷、宇宙機器等の設計、製造、販売、サービス及び据付 |
汎用機・ 特殊車両 |
フォークリフト、建設機械、中小型エンジン、ターボチャージャ、農業用機械、トラクタ、特殊車両等の設計、製造、販売、サービス及び据付 |
リーマンショック後冷え込んだ受注高が低迷しましたが、ここ数年で徐々に徐々に回復にむかっています。
しかしここ数年は、原動機セグメントや機械鉄構セグメントでのプラント工事などエネルギー関連の利益への依存度が高く、宇宙ビジネスを含む航空・宇宙セグメントや船舶・海洋セグメントはセグメント赤字に陥っています。
三菱重工業のHPによると安全保障衛星・科学衛星・観測衛星、商用通信衛星、HTVのような宇宙ステーションへの運搬に加え、将来は、日本のロケットが輸送する貨物として、宇宙空間施設に運搬する大型貨物、月・他惑星への探査機、さらには有人輸送機を検討しているようです。
今回の海外衛星初搭載のH2Aロケットの打ち上げが成功し、日本の宇宙ビジネスが世界へ発信するための大きな第1歩になることを願ってやみません(参考に
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