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今日は、日経朝刊1面のビックカメラのコジマ買収のニュースからです。
【記事要約】
・ 家電量販店大手のビックカメラ(業界5位)は同業のコジマ(業界6位)を買収する。
・コジマが6月に実施する第三者割当増資を引き受け、株式の50%超を取得、コジマはビックによる買収後も上場を維持する。
・買収額は百数十億円。連結売上高は一兆円規模となり、首位のヤマダ電機に次ぐ2位に浮上する。
・ビックはコジマを傘下に収めてメーカーとの交渉力を拡大、好条件での商品仕入れや独自商品の開発につなげる。
・ビックは東京や大阪など大都市の主要駅前で約40店を展開。一方、コジマは郊外の幹線道路沿いや住宅地を中心に全国で約200店をもつ。ビックは売り場面積1万平方メートル級の大型店、コジマは3000千平方メートル程度の中規模店が主力。両者が統合で店舗網の補完関係が築けると見ている。
・コジマは90年代後半には業界最大手となったがヤマダをはじめとする競合各社が進めて店舗大型化で後れをとり競争力が低下、01年度にヤマダに首位の座を明け渡した。ビックは九州地盤のベスト電機を08年に持分法適用会社とするとなどM&Aに積極的。
・家電エコポイント制度終了などに伴うテレビ販売の不振で、家電製品市場は縮小が続く。電機メーカーが構造改革を急いでいるが、川下の量販店でも再編が広がる可能性がある。
家電量販店の場合、アパレルなどと異なり電化製品の差別化は基本的にできないと考えられるため、その優劣はいかに低価格を実現できるかに尽きます。そのため、スケールメリットを生かした低価格仕入れを実現するため、規模の優劣が競争や業績の優劣につながってきました。
ただ、家電エコポイントの追い風もあり、薄型テレビなど電化製品市場は好調、多少規模で劣っていても単独で生き残ることは可能でした。
しかし、家電エコポイント制度終了などに伴うテレビ販売の不振で、家電製品市場は縮小が続くなか、電機メーカーは構造改革を余儀なくされています。特に国内メーカー家電量販店の看板であったテレビ事業を次々と縮小しています。そうなると川下の家電量販店への影響も当然大きいでしょう。
過去のBizBlogでも「製造側の産業構造が大きく変わり、パワーバランスが変わっていけば、また販売サイドの構造も大きく変わっていく」のではと指摘していました。
また、海外での競争激化で家電メーカーの体力も衰え、家電量販店の値引き源泉である販売奨励金も減少していると思われます。
業界首位のヤマダとビック・コジマの3社の比較表をご覧ください。
ヤマダ電機 | ビックカメラ | コジマ | |
証券番号 | 9831 | 3048 | 7513 |
売上高(百万円)※ |
1,835,454 (△14.8%) |
530,000 (△13.4%) |
370,380 (△17.6%) |
営業利益(百万円)※ |
88,978 (△27.5%) |
9,000 (△54.8%) |
3,660 (△68.8%) |
経常利益(百万円)※ |
102,225 (△25.8%) |
11,000 (△50.7%) |
4,200 (△64.1%) |
当期純利益(百万円)※ |
58,235 (△17.7%) |
7,000 (△22.7%) |
508 (△74.8%) |
経常利益率(%)※ | 5.56 | 2.07 | 1.13 |
年度個社財務情報(当社DB) | |||
年度比較財務情報(当社DB) | |||
四半期個社財務情報(当社DB) |
|||
四半期比較財務情報(当社DB) |
※ ヤマダ電機とコジマは24年3月期決算短信情報、ビックカメラは平成24年8月期予想数値
※ カッコ内は前期比増減率
上記の3社の前期増減率を見ると、家電エコポイントをてこにかほぼ一貫して右肩上がりでしたが、家電エコポイント制度終了後急速に悪化していますね。
こうなってくると、縮小する市場で消耗戦が激化する中、低価格競争についていけない企業ができて、企業再編が加速するのも避けられないでしょう。特に今回買収されるコジマは3者間で比較してみると、コジマの売上高および利益の悪化状況および利益率の低さが目立ちます。
なお私見としては、 規模拡大以外で低下価格競争を勝ちぬくチャンスとしては、店舗費を縮小できるECビジネスへのシフトも考えられると思います。家電量販店大手もECサイトは揃えていますが、未だ価格.comなどで選ばれるレベルにはないように思えます。筆者はここ数年、価格.comなどを通じて最安ECサイトで家電を購入する機会が増えました。
百貨店跡に次々に出店し、小売業界で勝ち組だった家電量販店。業界自体で一つの曲がり角に来ているのかもしれませんね。
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