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今日は、スーツでお馴染みのAOKIホールディングスの記事からです。
【記事要約】
・AOKIホールディングスの2012年3月期の連結営業利益は140億円弱と前期比26%増の過去最高となったもよう。従来予想を17億円弱程度上回る。
・好採算のスーツの販売が伸びた。全体の7割弱を占めるファッション事業は、紳士服店「AOKI」などの既存店売上高が通期で前期比5%増。昨秋に発売したストレッチ素材で動きやすい30~40代向け細身スーツ「3Dスマート」の売れ行きもよく、客単価も上昇。20代にはリクルートスーツ用や新入社員向けスーツの販売が好調。夏の電力不足でクールビズ商品も好調。
・また、「安近短」のレジャー需要の高まりでカラオケや複合カフェ事業も増収。
・ブライダル事業は11年春に開業した豊洲の結婚式場で、600組ほどの挙式を取り込み増収。
細身スーツやクールビズ商品が好調のようです。また、気になるのが、カラオケや複合カフェ事業やブライダル事業も実は展開しているところです。紳士服のイメージの強いAOKIですが、実は表参道のアニヴェルセルをはじめ、多角化している会社です。
まずは紳士服大手4社のステータスを見てみます。
青山商事 | AOKIホールディングス | コナカ | はるやま商事 | |
証券番号 | 8219 | 8214 | 7494 | 7416 |
予想売上高(百万円) |
195,200 |
141,900 |
64,192 |
49,900 |
予想営業利益(百万円) |
14,700 |
12,100※ |
3,733 |
800 |
予想営業利益率(%) | 7.53 | 8.52 | 5.81 | 1.60 |
予想経常利益(百万円) |
13,600 |
13,000 |
4,072 |
1,000 |
予想当期純利益(百万円) |
5,800 |
5,500 |
3,054 |
100 |
直近海外売上高比率(%) |
10%未満のため開示なし | 海外売上高なし | 10%未満のため開示なし | 海外売上高なし |
年度個社財務情報(当社DB) | ||||
年度比較財務情報(当社DB) | ||||
四半期個社財務情報(当社DB) |
||||
四半期比較財務情報(当社DB) |
||||
紳士服の主な店舗ブランド |
洋服の青山 THE SUIT COMPANY |
AOKI ORIHICA |
コナカ SUIT SELECT |
はるやま Perfect Suit FActory(P.S.FA) |
※ コナカ以外3社は2012年3月期予想数値、コナカは2012年9月期予想数値(いずれも直近期決算短信より)
※ 今日の記事によるとAOKIホールディングスは営業利益140億円弱の見通し
青山商事とAOKIが収益力で他の2社を圧倒している印象です。
また、コナカやはるはやま商事は、紳士服などのファッション専業型ですが、青山商事とAOKIは、2社に比べ多角化しているという特徴もあります。
青山商事は連結売上高の84%を紳士服販売などのファッション事業が占め、その他は、商業印刷事業、雑貨販売事業(ダイソー&アオヤマ100YEN PLZA ; http://www.100yenplaza.com/ )などを行っています。
AOKIは売上高の70%弱をファッション事業が占め、その他はブライダル事業や、カラオケや複合カフェなどのエンターテイメント事業が占めます。
AOKIのセグメント分析は後ほど紹介するにして、青山商事が実は100円ショップ事業も展開しているとは驚きです。
また、紳士服業界で気付くポイントが紳士服大手のどこも海外展開があまり進んでいない点です。
アパレルでは、ユニクロやオンワードを筆頭に海外展開する動きが活発です。
つい最近ではしまむらが中国本土へ進出するニュースについて取り上げたところです。
最後のAOKIホールディングスのセグメント別業績を見てみます。
中核のファッション事業は、リーマンショック後2010年頃まで苦戦していましたが、2011年3月期以降回復しています。
洗濯機で丸洗いできる「プレミアムウォッシュスーツ」やスーツの温度を自動調整する「プレミアムサーモスタットスーツ」、今回の記事でも紹介されていた「3Dスリムスーツ」などの、開発商品が業績をけん引しているようです。
商品開発力が高さが今期の最高益に繋がったのかもしれません。
また、アニヴェルセルブランドのブライダル事業の業績もグループの業績を押し上げています。
冒頭でも述べましたがアニヴェルセルというと表参道が有名ですね(URL:http://omotesando.anniversaire.co.jp/)。
また平成23年4月に開業した「アニヴェルセル豊洲」の受注も順調に推移しているようです(URL:http://toyosu.anniversaire.co.jp/)。
その他にも、カラオケルーム「コート・ダジュール(URL:http://www.cotedazur.jp/) 」を展開するカラオケルーム運営事業や複合カフェ「快活クラブ (URL:http://www.kaikatsu.jp/)」を展開する複合カフェ事業なども展開しており、スーツのイメージの強い、AOKIは実は多角化していることわかります。
【セグメント内容】
ファッション事業…メンズやレディス衣料の企画販売
アニヴェルセル・ブライダル事業…結婚式場の運営
カラオケルーム運営事業…カラオケルームの運営
複合カフェ運営事業…雑誌・コミック、マッサージチェア、インターネット等による癒しの空間を提供する事業
※カラオケルーム運営事業および複合カフェ運営事業は、2009年3月期まではエンターテイメント事業に含まれている。
商品開発力と多角化戦略などが功を奏して最高益のAOKI。
ただし、少子高齢化により内需の先細りが見えているのは、紳士服業界も他のアパレルと同じでしょう。今後は内需の先細りを百貨店業界のJフロントのように多角化で補うのか、それともファーストリテーリングのように海外進出で補うのか、戦略の分かれ道なのかもしれません。今後の紳士服大手4社の戦略の違いに注目したいと思います。
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