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今日は、日経朝刊11面のキャノンの記事から。
<2012年3月16日 日経朝刊11面 記事要約>
・キヤノンはデジタルカメラやインクジェットプリンターなど民生品の中核技術を応用した業務用機器で新規市場を開拓する。
・2015年12月期に映画用カメラ事業で売上100億円以上、業務用の写真プリンター事業で同1千億円を目指す。15年12月期に連結売上高5兆円を目標に掲げる中期経営企画の達成につなげたい考え。
・映画撮影用カメラでは「シネマEOSシステム」は、同社のデジタル一眼レフカメラ「EOS」の技術を基に開発。既存の交換レンズも使えるのが特徴。1台150万前後で、米ハリウッドのほか、欧州やインドで販路を開拓。
・業務用写真プリンター「ドリームラボ」は、写真展などからデジカメ写真のプリントを請け負うラボ(現像所)向け製品。家庭用インクジェットプリンターの技術を基に新規参入し、2月から出荷。1台5千万円と高価だが全世界で需要が伸びるとみている。
・このほか、「デジカメやセンサーを応用した監視カメラなど既存技術の水平展開を積極的に進める」という。
・カメラと事務機器に続く新たな収益源の確立を急ぐ。
キヤノンの新規事業の取り組みの話題。
経営戦略としては、上流・下流を握る「垂直系」と、既存技術の幅を広げていく「水平系」とが考えられますが、キヤノンの場合は水平系の事業展開を考えているようです。
「水平系」は既存技術の応用なので多額の研究開発も必要なく、低リスクなのが特徴的ですね。
なお、キヤノンの主力の一眼レフについては以前のBizBlogでも触れているので、こちらを参考にしてください。
◆キヤノンの業績推移
キヤノンの業績推移は以下のとおりです。
<セグメント別売上高推移>
<セグメント別営業利益推移>
<地域別売上高推移>
【リソース】キヤノンHP公表のエクセルより筆者加工。
リーマンショック時に売上が減少していますが、徐々に回復傾向にありますね。
今年はタイの洪水で減収減益となりましたが、2012年12月期の通期予想は3兆7500億円と2010年12月期(3兆7000億円)を超える予想となっています。
セグメント別にみると、オフィス(事務プリンター、複写機)とコンシューマー(カメラ、インクジェットプリンタ)の2本柱で売上及び収益を稼いでいるのがハッキリしています。
逆に言えば、「産業機器その他」セグメントが成長課題のセグメントであり、売上5兆円規模までもっていくにはこのセグメントの成長が不可欠といえます。
利益ベースでは収益は赤字ベースであり収益に貢献していません。
地域別では、国内・アメリカ・欧州・アジアとバランスよく売上をたてていることがわかります。
欧州危機でリコーが赤字になった中で、キヤノンはしっかりとした数字を作っているのはアジアの取り込みがうまくいっているからでしょう。
さて、キヤノンは潤沢なキャッシュフローを生み出す一方でほぼ無借金経営です。
その代わりを高い配当を実現しています。
フリーキャッシュフローと配当金、債務返済額の推移は以下のとおりです。
<フリーキャッシュフローと支払配当金、債務の返済額>
【リソース】キヤノンHP公表のエクセルより筆者加工。
2002年、2003年で負債はほとんど返し終わり、そこから余ったおカネは配当に回しています。
配当の高さは裏を返せば、再投資先がないということでもあります。
今日の日経記事では、新たな市場へ打って出るとのことでしたが、水平的な事業展開であることから多額の投資キャッシュ フローは不要である可能性も高く、さらに潤沢なキャッシュを生み出す可能性はありますね。
最後に、キヤノンのチャートです。
<キヤノン(7511) 3カ年週足チャート>
【リソース】SBI証券より
今日時点の株価で予想配当利回り3%ですね。
キヤノンの次の展開に期待したいところです。
以上
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