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今日は、2012年3月11日の日本経済新聞(朝刊)のアサヒの東欧ビール買収の記事について。
【記事要約】
・アサヒグループホールディングスは東欧のビール大手「スターベブ」を買収する最終調整に入った。スターベブは英投資ファンドが保有、買収価格は日本円で2000億円規模とみられる。4月までの合意を目指す。
・「スターベブ」はチェコに本社を置き、周辺のハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなど9カ国で事業を展開。売上高は700億円超、4000人以上の従業員がいる。3カ国でシェア首位とみられる。
・アサヒの2011年海外売上高は942億円。15年に4000億円以上に伸ばす方針。11年には清涼飲料・酒類企業を対象にアジア・オセアニアで4件の買収を実行、1400億円超を投じている。
・世界のビール業界大手は大手を中心に集約が進み、アジアでの買収対象は限られている。
・「スターベブ」を保有する英投資ファンド・CVCキャピタルパートナーズは09年12月に世界ビール最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)※から買収。ABインベブは、CVCキャピタルパートナーズへの「スターベブ」の売却の際、買い戻し優先交渉権を持っていおり、最終的にアサヒと同程度の価格をCVCキャピタルパートナーズに提示した場合、買収できなる可能性も残っている。
※ アンハイザー・ブッシュ・インベブ (ABインベブ)
ベルギーの酒類メーカー。2008年、ベルギーのインベブが、オランダ・フランスの大手金融機関から融資を受けバドワイザーで知られるアメリカのアンハイザー・ブッシュを買収・合併し、社名変更。ビールのシェアは25%で世界一、売り上げ高も270億ユーロ(約3兆6000億円)で世界一。(ウィキペディアより)
「国内ビール系市場がピーク比2割減と縮小する中、キリンホールディングスは昨年3000億円を投じてブラジルのビール大手と買収」するなど海外展開が加速しています。
国内市場の縮小の中、円高が追い風となり、海外の飲料大手の買収に積極的であると、以前のビズブロでも取り上げましたね。
■ 2011/10/26 アサヒビール、営業益2割増とビール業界
最後に簡単にアサヒグループホールディングの過去の業績推移と今期の業績状況を見てみます。
<アサヒグループホールディングス 5期業績推移>
(グラフはアサヒグループホールディングスHPより)
<アサヒグループホールディングス 今期業績予想と進捗率>
(単位:百万円)
第1四半期 | 第2四半期 |
第3四半期 |
2011年12月期 (業績予想) |
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売上高 | 280,223 | 651,661 | 1,066,116 | 1,560,000 |
営業利益 | 7,412 | 36,443 | 76,784 | 118,000 |
経常利益 | 10,552 | 41,256 | 82,396 | 119,000 |
当期純利益 (四半期純利益) |
3,635 | 16,272 | 35,942 | 65,000 |
売上高進捗率 | 17.96% | 41.77% | 68.34% |
ー |
ビールや清涼飲料などグループ企業間での共同配送による物流効率化や、原材料の調達方法見直しなどコスト削減が効いた結果、利益は右肩上がり。
ただし、売上高は横ばいで、今後はさらに内需全般として市場規模の縮小が見えてるため、利益を再投資しなければならないという収益投資構造になっている模様です。
実際、過去5年間のM&Aに関連する項目の推移は以下のとおりとなります。
2007年12月期 | 2008年12月期 | 2009年12月期 | 2010年12月期 |
2011年12月期 (第3Q累計) |
|
のれん | 65,325 | 60,675 | 100,314 | 84,172 | 163,297 |
投資キャッシュフロー |
△117,828 | △58,235 | △180,637 | △41,790 | △145,680 |
フリー・キャッシュフロー (営業CF+投資CF) |
△48,255 | 47,859 | △74,279 | 83,818 | △48,235 |
現金および現金同等物残高 | 11,741 | 12,697 | 18,082 | 10,813 | 15,846 |
のれん残高も4年前の2倍以上の水準です。M&Aが増えていることが読み取れます。
また、過去の投資CFや手元キャッシュ残高の水準からも今回の2000億円の投資規模が如何に大規模なものかわかりますね。
今後も飲料メーカーのM&Aの動きに注目ですね。
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