現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。
今日は、2012年2月7日の日本経済新聞朝刊のイオンの特集記事についてです。
【記事の要約】
・小売り最大手のイオンがアジア、大都市、高齢者という3つの市場に挑む。郊外に巨大ショッピングセンターを大量出店した姿は影を潜め、利益を確実に生み出す戦略にカジを切った。
・1月14日には、イオンの海外100か所目の店舗「イオン済寧ショッピングセンター」が開業。イオンはアジア全域の小売販売額が20年までに200兆円増えるとみる。国内市場が縮むなか、アジアに視線が向くのは当然の帰結。
・2009年2月期、イオンは売上高、過去最高を記録したにも関わらず経常利益は24%減。しかも7期ぶりの連結最終赤字に転落。これを機に拡大路線を修正。国内の総合スーパーへの投資を抑え、人件費や家賃などのコストも大幅に削減。その結果、2012年2月期の経常利益は2,000億円~2,100億円と過去最高となる見込み。
・10年度に9%だった連結営業利益の海外比率を、20年度に50%に引き上げる目標を掲げる。「アジアで最大、最強、最高の小売グループ」を目指す。
・ただし、欧米2強のカルフール(仏)はアジアで380店、ウォールマート(米)は中国に357店と、アジア100店(中国43、タイ29、マレーシア28)のイオンにとって道のりは険しい
・経営スピードを高める、現地の嗜好にある商品の開発を調達ルートの確保などのため、現地に司令塔を置き現地攻略を担う。11年度に採用した社員2千人のうち400人は外国籍。
イオンの利益獲得力の弱さは、セブン&ホールディングとの比較で過去取り上げています。 過去のビズブロはこちら。
さらに過去5年間のイオンのセグメント別売上高および営業損益についてグラフ化してみました。
ここ5年間売上規模は増加していますが、それに反して2010年2月期までは営業利益は減少の一方でした。しかし、2011年2月期で営業利益の減少に歯止めがかかりっています。日経が指摘しているとおり、利益を確実に生み出す戦略にカジを切った効果が表れているのでしょう。
2012年2月期には売上高5兆1,700億円、営業利益1,950億円~2,050億円を見込みます。営業利益率も4%近くまで回復するということになります。
ただし、セブン&ホールディングスは2012年2月期の売上高4兆7,800億円、営業利益2,860億円、営業利益率6%程度を見込んでいますのでまだまだ水をあけられている格好です。今後の規模から利益獲得力へのシフトの結果が楽しみです。
また、地域別売上高および営業損益についてもグラフ化してみると以下のとおりです。 まだまだ、国内依存度が高く伸びシロが高いことがわかります。
最後に2012年2月期の第3四半期情報が出ていますので、直近の四半期情報を見てみます。 前期2%代だった営業利益率も、今期は3%でシフトしています。 利益重視の経営の効果がよく読み取れます。
■ イオンとセブン&アイ・ホールディングス 比較四半期情報.pdf
今回は、「小売り最大手のイオンがアジア、大都市、高齢者という3つの市場に挑む」というテーマのうち“アジア”を題材として記事でした。明日以降の日本経済新聞で“大都市”“高齢者”とテーマとしたイオンの記事が掲載されると思われます。続きも見逃せませんね。
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