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今日は、日経朝刊9面に大崎電気がシンガポールの電力量計大手SMBユナイテッドをTOBする記事が掲載されていたので、その話題から。
<2011年12月29日 日経朝刊9面>
・大崎電気工業が、シンガポール証券取引所に上場している電力系大手SMBユナイテッドに対しTOBを実施すると発表。買付価格は約127億円。50%超の取得を目指し、37.4%の株式を保有するSMB経営一族は売却に同意。
・SMBが持つオーストラリア・欧州の販売網を取り込み、国内市場に依存した事業モデルからの脱却を目指す。SMBはシンガポール国内でトップシェアを持つ。
・大崎電気は東京電力を中心に日本の電力会社向けに電力量計を販売しているが、海外売上高は全体の1割にも満たない。このため、オーストラリアやニュー時ランド、欧州に販路を持ち、海外市場での成長期待の大きいSMBを買収することを決めた。
<記事はここまで>
◆大崎電気のシンガポールの電力量計の最大手を買収
日経の記事にもあったように、日本の電力量計最大手の大崎電気がシンガポールの電力量計最大手のSMBユナイテッドを買収すると発表しました。
■平成23年12月28日大崎電工業公表「シンガポール企業SMB United Limited の株式公開買付け実施について」
【リソース】大崎電気HPより http://www.osaki.co.jp/Files/Billeder/IR/tanshin/2011.12.28_SMB(jisshi).pdf
【リソース】IKP財務データベース
上記のプレスリリースによれば、直近売上高約142億円、直近当期純利益約11億円の会社のようで、オーストラリア、ニュージーランド、欧州に販路を持つのが強みのようです。
大崎電気は東京電力をはじめ国内電力会社に電力量計を販売する日本最大手の電力メーター企業です。関西電力との合弁会社・エネゲート(大崎電気51%保有で子会社)があるように、売上の大半は関西電力向けです。
<電子式電力量計> | <電力量計(機械式)> | <機械式電力量計> |
【リソース】大崎電気工業HP http://www.osaki.co.jp/Default.aspx?ID=332
電力量計でも「スマートメーター」と呼ばれるスマートグリッドに関連した電力量計が今後の市場拡大が見込まれる分野です。スマートメーターは電力使用をリアルタイムで把握でき、家庭内の電力消費をコントロールできる次世代型の電力量計です。スマートメータは、上記の電子式電力量計にマイコン等を搭載して情報端末機能を持たせるものです。
スマートグリッド構想は、EMS(Electric Management System)といった管理システムに連動した電力量を図るメーターが必要であり、上記にある従来の機械式の電気メーターをスマートメーターに取り換える必要があるため、1兆円規模の市場が見込まれています。
◆スマートメータの競合
スマートメータの競合は、東京電力系の東光電気と東芝のスマートメーターの合弁会社・東光東芝メーターシステムズや富士電機・GE連合のGE富士電機メーター株式会社、東芝が2011年7月に約1800億円で買収したスイスのランディスギアといったところになります。ランディスギアはスマートメーターの世界的リーディングカンパニーです。
大崎電気は、日立製作所とスマートグリッドのソリューション提供で業務提携しています。
<スマートメーターの競合>
■東光東芝スマートメーター株式会社(東光電気と東芝の合弁)
■GE富士通電機メーター株式会社(GE(米)と富士電機の合弁)
■ランディスギア(東芝子会社)(スイス)
<東芝によるランディスギア買収のIR>http://www.toshiba.co.jp/about/press/2011_05/pr_j1902.htm
■日立製作所+大崎電気のスマートグリッド業務提携
<日立製作所と大崎電気の業務提携に関するIR>http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2010/05/0526c.html
欧米ではスマートメーター導入に向けて補助金予算が設定されているなど、急速に普及することが見込まれています。日本は東日本大震災や福島第一原発の東電保障問題などにより、遅れる可能性は懸念されています。ただ、電力不足などによりエネルギー効率化の機運は高まっており、スマートグリッド構想は中長期的には拡大するものと考えられます。
◆欧米等への販路確保
大崎電気の海外売上高は10%未満であり、海外への販路をほとんど確保できていない状況です。
大崎電気の直近売上高約460億円のうち、約169億円が関西電力、約55億円が東京電力であり、この2社で約半分の売上比率となっています(平成23年3月期有価証券報告書セグメント情報より)。
住宅建設件数の減少等により国内需要は減少傾向であり、福島第一原発の問題から電力会社を含む、エネルギー関連の抜本的な構造改革が見込まれる昨今において、国内市場からの脱却は不可避です。このため、欧州・オセアニア地区への販路拡大を目指し、SMBの買収となったと考えられます。
今日の日経朝刊トップ記事にもあるように、今年の海外M&Aは過去最高の5兆円突破で、内需低迷で成長国への投資をはじめ、円高を生かした買収攻勢をかけた企業が多かったといえます。
今回の買収額は200億円弱と、それほど大型買収案件ではありませんでしたが、今後も大崎電気のような専業トップシェアメーカーが海外販路を獲得するために、現在の円高を利用した海外企業のM&Aが今後も続くと考えられます。
スマートグリッドや海外M&Aなど、来年も注目していきたいですね。
以上
<追 記>
本日で年内のBizBlogは終了となります。
年明け5日(もしくは6日)より、BizBlogを再開いたします。
本年10月5日に”こっそりと”スタートした「BiZ BLOG -ビジネスマンのためのビジネスブログ-」も、当社の取引先の皆様だけでなく、当社の無料会員の皆様、筆者の知人、その知人の知人、ネットで当社の記事にたどり着いたネットユーザ等、想像以上に多くの方々に読んで頂くまでになり、大変感謝しております。筆者の知人からは「面白かったよ」と励ましのお言葉を頂き、Blog更新の糧となりました。ありがとうございます。
読者の皆様の有用な情報を今後もご提供できるよう精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、みなさま、良いお年を。
【当社の年末・年始のお休み等】
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