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2011/11/25 会員制急速充電サービス 電気自動車普及のキーポイント

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今日は、電気自動車の関連する話題から。

 

今日の日経朝刊11面にスズキの新型アルトがダイハツのミライースの燃費を超えたとのニュースもあり、マツダの”第3のエコカー”戦略と合わせて、ガソリンエンジンの効率性の向上が活発化しています。

一方で、同じ11面に「三菱自・BMW 新型EV相次ぎ投入」という記事も出ており、電気自動車(EV)も技術開発・販売促進が高まってきています。

 

さて、そういった中で、昨日は「会員制急速充電サービスの普及」ということで、以下のような発表が行われました。

 

<2011年11月24日 日経電子版より>


トヨタなど、会員制の急速充電サービス 電気自動車普及を支援

 トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車、中部電力など9社は24日、電気自動車(EV)の急速充電器の早期普及を目的に、合同会社「充電網整備推進機構」(東京・千代田)を今年12月にも設立すると発表した。2012年度から法人と個人を対象に会員制の急速充電サービスを提供、収益を急速充電器購入・整備の原資に充て、普及を促す。

 新会社の資本金は1100万円。トヨタ、ホンダ、三菱自、中部電の4社が18.2%ずつ、日本政策投資銀行が9.1%、アルバックなど4社が各4.5%出資し、サービスの開始時期や会費など詳細は今後詰める。

 国内に急速充電器は約800基あるが、企業や自治体が社会貢献や実証実験の一環で設置している例が多い。トヨタなどは設置費用を確実に回収する事業モデルがないことが普及の障害になっているとみて、広く会員を募ることで充電器の設置者が費用を回収しやすい仕組みをつくる。


 <記事はここまで>

 

 これはCHAdeMO協議会が全会員に呼び掛けて設置したワーキング・グループにて検討をすすめてきた会員制サービスになります。

【リソース】CHAdeMO協議会『会員制急速充電サービスを行う合同会社設立に向けた合意について』

http://www.chademo.com/jp/pdf/kaiinjyudenservice.pdf

 

 この会員制サービスは、EV利用者(エンド・ユーザ)を会員登録してもらい、会員は会費を支払うことで、会員はネットワーク化した急速充電器を利用することができ電池切れの不安が軽減されます。

 一方で、徴収された会費は、急速充電器を設置した設置者に対して還元され、費用負担が軽減されることになります。

 このサービスのイメージ図は以下のとおりです。

 

【リソース】上記『会員制急速充電サービスを行う合同会社設立に向けた合意について』

 

なお、参加企業は以下のとおりです。

業種 会社名(出資比率)
自動車 トヨタ自動車(18.2%)、ホンダ(18.2%)、三菱自(18.2%)
電力系 中部電力(18.2%)、関電工(4.5%)
部材メーカ アルバック(4.5%) 
商社 兼松(4.5%)、鈴与商事(4.5%)
金融 日本政策投資(9.1%)

※中部電略が代表社員。

 

 

◆EV車の投入状況

日本のEV車の投入状況は次のとおりです。

会社名 トヨタ自動車 日産自動車 ホンダ 三菱自動車 スズキ
ブランド名 iQベースのEVとテスラ共同開発のRAV4 リーフ フィットEV アイ・ミーブ 未定(三菱からOEM決定)
投入年 2012年予定 2010年 2012年夏  発売中 2012年2月
備考

テスラ(米)と共同開発するEVも投入。また、HV車で人気のプリウスで、PHV(プラグインハイブリッド)車を投入。

人気のHV車を抱えているトヨタとしてはEV車はそれほど魅力なしか?

 

もともとHV車で出遅れ。ルノー連合でEV車開発。2011年9月に三菱自からOEM供給合意。 三菱自に続き東芝の独自開発リチウムイオン電池を搭載。 リコール問題もあって、早くからEV開発に積極的。日産とスズキにOEM供給し生産コスト減少か。

三菱自動車から軽商用EVをOEM決定。

VW(独)との資本提携問題を抱える。

 

上記のように、まだまだ本格普及していないEV車ですが、今後インフラ部分が整い、生産コストの抑制により販売価格が下がれば一挙に普及すると思われます。

 

【参考】平成23年9月22日、日産と三菱自の国内OEM事業拡大の合意

http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2011/news/detailb922.html

【参考】平成23年11月22日、三菱自とスズキのOEM供給の合意

http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2011/news/detail4523.html

 

 

◆充電設備とスマートグリッド 

EV車の普及に欠かせないのが、蓄電池の技術向上と充電設備の充実でしょう。

EV車の充電は、家庭での充電が基本スタンスとなると思われますが、ガソリンスタンドのような充電スタンドの存在も不可欠でしょう。

しかし、2011年10月現在で急速充電器は約800基ほどが設置されているものの、EVユーザの利便性を考えると十分だとは言えません。

このため、急速充電器の設置者の投資回収スキームを構築することで、急速充電インフラの整備拡大を推進しようとしています。

 

また、EV車の充電は家庭での充電が基本スタンスであるとすれば、以前Bizblogでも取り上げた「スマートグリッド(次世代送電網」技術はますます重要性が高まると考えられます。現状のインフラ設備を利用しつつ最低限の投資コストでEV車を普及させるとすれば、電力エネルギーの利用効率の向上は欠かせません。

スマートグリッドは、富士通やIBM、NTTなど、総合電機や通信キャリアが本格的なEMS(エネルギー・マネジメント・システム)を構築し、パナソニックやシャープの『スマートハウス』(HEMS)、ビルに適用する『スマートビル』(BEMS)、工場で制御するエネルギー管理(FEMS)、電車等インフラに対するEMSと連携させる壮大なテーマに取り組むものです。

 

【EMSのイメージ図】

 【リソース】富士通EMSソリューション

http://jp.fujitsu.com/solutions/smartgrid/solutions/smartgrid-ems/

 

 

世界人口は今後急増することが見込まれています。

【リソース】総務省・統計局『世界人口の推移』

http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm#h2-01

 

資源を持たない日本は食糧とエネルギーの確保とそれを効率的に利用できる技術の確立が必要になります。

また、世界的にも有限資源を有効利用するニーズが確実に発生すると考えられ、これらの技術革新は必須でしょう。

家電や半導体などのコスト競争に入っているものは、サムスンやLGを代表する韓国や、中国、インドなどの新興アジアにナカナカ太刀打ちできません。

だからこそ、日立や東芝のインフラ技術、世界一のスパコンを持つ富士通のIT技術、パナソニックなどの家電技術、NTT等の通信キャリアなど、オールジャパンで、スマートグリッドなどの新技術を世界に先駆けて開発して欲しいものですね。

以上

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