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パーク24は15日、2011年10月期の連結純利益が前期比微増の65億円になったと発表した。
従来予想は52億円で20%減るとみていた。
駐車場の運営台数が順調に増加し、東日本大震災による駐車場やレンタカー店舗の営業停止の影響などを吸収した。
(日本経済新聞朝刊 2011年11月16日)
今日は、そんな「パーク24」に焦点を当ててみたいと思います。
まずは、直近の財務情報3期分と11月15日に発表された2011年10月期の業績予測数値の状況は下記のとおりとなります。
■ 2011年10月期業績予想
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
123,800百万円 | 13,200百万円 | 12,700百万円 | 6,500百万円 |
不況や東日本大震災の中でも安定した業績を保っていますね。
パーク24の事業セグメントは、「駐車場事業」と「モビリティ事業」の2つがあります。
「駐車場事業」は、「タイムズ」ブランドによる時間貸駐車場ビジネスです。「24h Times」の看板でおなじみですね。
「モビリティ事業」は、「レンタカーサービス」と「カーシェアリングサービス」の2つからなります。「レンタカーサービス」は「マツダレンタカー」ブランドで、「カーシェアリングサービス」は「タイムズプラス」ブランドで展開しています。
ちなみに、レンタカーサービスは2009年3月にマツダレンタカーの株式を取得し参入、カーシェアリングサービスも、2009年に参入したばかりです。クルマを保有する経済的負担の増加や環境に対する意識の高まりなどにより、クルマは「保有するもの」から「利用するもの」へと消費者の意識が変化している中での新規事業です。若者の車離れが叫ばれている中、経営スピードの速さを感じますね。
では、それぞれの事業状況を俯瞰してみます。
● 駐車場事業
駐車場業績は安定していますね。東日本大震災の影響か、2011年の第2四半期は一時的に少しだけ悪化していますが、利益・売上ともに右肩上がりです。
ちなみに、会社のIR情報によると、駐車場事業は、不動産賃貸事業であり、コストは固定費(土地の賃料やメンテナンス料など)が基本となるため、① 駐車場の管理・運営台数の拡大、すなわち規模の拡大 と② 駐車場の収益力の拡大、すなわち駐車場稼働率の向上がポイントになるようです。
とくに、①については、
・自らが歩いて独自に街を調査し、土地オーナーと直接交渉することで活用度の低い土地を見つける
・建築等に利用されにくい小型の平面駐車場を開発することで土地オーナーの解約リスクを軽減する
・は、解約率が一般タイムズ(ST)の半分以下である商業施設の来客用駐車場のタイムズ化(TPS)を推進する
ことにより長期安定的な規模の拡大を図るなど、緻密な戦略をとっています。
実際、規模状況を表す駐車台数データも、右から上がりですね。戦略が成功している証左です。
● モビリティ事業
2009年10月期 | 2010年10月期 | |
連結売上高 | 95,320百万円 | 113,248百万円 |
モビリティ事業売上高 | 10,584百万円 | 18,687百万円 |
比率 | 11.1% | 16.5% |
2009年10月期 | 2010年10月期 | |
連結営業利益 | 8,303百万円 | 12,839百万円 |
モビリティ事業営業利益 | 122百万円 | 44百万円 |
比率 | 1.47% | 0.34% |
2009年に参入したばかりなので、まだまだ駐車場事業に比べ、規模は低いですが、売上高に占める比率は上昇しているようですね。ただし、参入期のため営業損益はまだまだのようです。
さらに2009年新規参入したカーシェアリングにスポットを当ててみます。会社のIR情報をもとに、集計・グラフ化した結果は下記のとおりです。
カーシェアリングのステーション数は、ここ1年で4倍近く、会員数は3倍と急成長しています。やはり最近は都内を中心にクルマは買うものではなく、借りるものが定着化してきたのでしょうか。
ちなみに、カーシェアリングは、既存のタイムズステーションに開設することにより、駐車場コストを実質不要とともに、駐車場事業とのシナジー効果を図っているようです。消費者のクルマ離れの中、経営資源を有効活用した経営戦略がとられていますね。
都内で生活すると電車が便利なのでクルマを所有する動機がなかなか湧きませんが、家族で出かけたり、買い物に行くときなどレンタカーまでは不要だけれども一時的にクルマを利用したいと思うときが、筆者もしばしばあります。特に子供がいると尚更です。そんなとき、近所にあるタイムズ駐車場でカーシェアリングも利用できたら確かに便利ですね。
クルマは「保有するもの」から「利用するもの」への変化している中、急成長ビジネスであるカーシェアリングビジネスについて今後も注目していきたいと思います。
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