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新日本製鉄とJFEホールディングは26日、2012年3月期の連結経常利益見通しを7月末に発表した会社予想からそれぞれ500億円と300億円引き下げた。新日鉄は前期比20%減の1,800億円、JFEは同40%減の1千億円を見込む。世界景気の減速や急速な円高進行で鋼材輸出が苦戦。洪水被害によるタイ向け出荷の減少懸念も追い打ちをかける。
(日本経済新聞2011年10月27日より)
最近の鉄鋼業界のニュースと言えば粗鋼生産量で国内首位の新日鉄と3位の住友金属が2012年に合併予定ですね。
国内の鉄鋼大手の再編を加速させている要因としては下記点が挙げられます。
・粗鋼生産規模で圧倒的なアルセロール・ミタルの存在
下記資料の通り、2010年の粗鋼生産量では、新日鉄と住友金属の合計ベースでもミタルの半分程度の規模です。
主要鉄鋼企業-粗鋼生産上位30社.pdf(新日鉄ガイドより)
相次ぐ買収を繰り返し大規模化したミタルには規模での勝負は厳しいといえます。
今後も高い需要が見込まれるとともに、世界に誇る技術力をもつ高品質・高付加価値鋼材(高級鋼)で強みを発揮してほしいところです。
・鉄鉱石などの原材料の高騰
経済成長に著しい中国の大量消費により鉄鉱石など原材料の価格が高騰しています。
下記資料で、中国の生産水準の伸び率の大きさがわかります。
主要国の粗鋼生産量.pdf (新日鉄ガイドより)
主要製鉄国の粗鋼生産長期推移.pdf(新日鉄ガイドより)
また、下記資料で鉄鉱石(iron ore)の直近価格指数が2009年比でも2倍以上になっていることがわかります。
鉄鉱石(iron ore)の価格指数推移.pdf(IMF Primary Commodity Prices より)
・中国などのアジア勢の台頭
中国勢や韓国勢の台頭も競争激化に拍車をかけています。
上記「主要鉄鋼企業-粗鋼生産上位30社」でも中国勢の韓国勢の伸び率の高さが目立ちます。
財務情報を見てみるとグローバル競争の激化の中でも2011年まで新興国を原動力とした世界経済拡大により各社粗鋼生産高を伸ばし、前期比で回復傾向にありました。利益率でも原材料高の転嫁やコスト削減により2010年から回復してきたところ。
そこで、欧州金融不安を発端にした急激な円高と世界経済の減速。
今後の生き残りをかけグローバルレベルでの、鉱山への権益確保の競争激化や、提携・M&Aの動きが今度も拡大していきそうです。
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